Vol.12
医療法人 かわかみ外科・整形外科クリニック  
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【なるほどコラム】閉塞性動脈硬化症 その1

 今日は、皆さん、あまり馴染みがない病気です。閉塞性動脈硬化症(へ
いそくせいどうみゃくこうかしょう)と言います。まあ、簡単に言います
と、足の血管が細くなって詰まってくる病気です。

 この病気で治療中の患者さんには、「あなたはラッキーですね。」とよ
く言うのです。 どうしてかって?

 簡単です。足に症状が出たので、閉塞性動脈硬化症、という診断になっ
ていますが、病気の本態は動脈硬化です。心臓に出ると心筋梗塞、頭に出
ると脳梗塞です。そちらが先に進行していれば、もう既に亡くなっていた
り、あるいは大変な後遺症に苦しんでいたのかもしれないからです。

 診断はそう難しくありません。ただ、間欠性跛行(しばらく歩くと足が
痛くなり、しばらく休むとまた歩けるようになる)という症状が、脊柱管
狭窄症という病気でもほぼ同じで、またこの2つは合併することも多いの
で、悩ましいのはそこくらいです。

 診断するときはまず、足を触ります。血のめぐりが悪いので、大抵やや
冷たいです。男性であれば、すね毛が薄くなってしまっているのも一つの
特徴です。

 次に動脈を探します。足背動脈(足の甲です)、後脛骨動脈(内くるぶ
しのやや後方)の2つです。触知が困難な時はドップラー聴診器を使いま
す。これは水の流れを音に変換する器械です。

 血流が非常に悪い場合、これでも検出不能なことがあります。そのとき
は、膝窩動脈(膝の裏)、大腿動脈(鼠径部)を確認します。

 次に測るのが、APIです。まあ、足の血圧、みたいなもんです。足に血
圧計を装着して、どこまで下げたら血が流れるか、を見ます。

 更に調べるには、血管造影です。カテーテルという細い管を入れて、造
影剤(早い話がレントゲンに写る液体)を流します。造影剤を流した後の
写真から、流す前の写真を引き算して(コンピューターですねえ)、画像
を鮮明化する、という手法は、随分と前から行われています。

 そうすると、「あ~、ここが狭いんだ」とか、「日頃の行いが悪いなあ」
とか(うそうそ)、「こ、こんな所にご先祖の霊が」とか(ないない)、
いろいろ解ります。

 その2に続きます。次は治療です。
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